許すこと
自分は寛容だ、という自負があった。
他人に対して「許せない」と思うことは、大きいことであれ、小さいことであれ、そんなにない。
でも、許せない、という言葉を使うことがあった。
それは自分自身に対してである。
他の価値観を知らない自分が許せない、怠けてしまう自分が許せない、依存する自分が許せない、感情をコントロールする自分が許せない・・・。
自分が一番許せないのは、自分自身であることに最近気が付いた。
よく、自分には厳しく、他人には優しく、と言う。
だが、本当にそうだろうか。
他人が許せないのは、自分が許せないからではないだろうか。
怠けている人が許せないのは、怠ける自分自身を許せないからである、と私は思う。
自分は、一番身近で、でも一番わからない、他者である。
自分だってある意味他人なのだ。
恣意的にコントロールしたり、罰したり、怒っていい相手ではない。
自分が「許せない」という言葉を使う相手は、自分自身であることに、最近気づいた。
でも、自分だって他者なのだから。
いろんな自分が混在し、ぐちゃぐちゃになり、どんな面を見せるのか、わからないまま、それでも自分からは逃れられず、一生つきあっていく相手なのだから。
どんな自分だって、許せる自分でいたい。