「間違えない」人生も、「間違った」人生もない。
よく、「後悔しないように今を生きよう」と言う。
正しい。過去にくよくよし、未来を思い煩う私はこの言葉に出会うたび、
はっと思い直し、そうだよ今しかないんだ後悔しないように生きよう、というか生きなきゃ、とまで思い直す。
背筋がしゃんとする。
でも、ふと思う。
果たして、後悔しない人生なんて、あるのだろうか。
生きることは、選択の連続だ。
「あれ」をするか、「これ」をするか。
「これ」をするか、「これ」をしないか。
日常の細かい決断から、人生に影響しそうな決断まで、選択しない日はない。
そして私たちは、決して知ることができないのだ。
選ばなかった「あれ」という人生を。
私たちは、常に「これ」を選んだ人生しか、知ることができない。
私たちが後悔するのは、常に選んだ時点での人生を、過去のものとして未来から振り返るときである。
未来がわかって初めて「後悔」という裁判を下す。
「ああ、あの選択は間違っていたのだ」と。
でも、どうあがいたって選ばなかった「あれ」の未来を知ることはできないのだから、
完全な意味では、後悔なんてできない。
逆に、選ぶ時点で両方の未来を知ることなど到底できないのだから、
「間違えない」人生もあり得ない。
そんな不確かな状況の中で選択する、その都度の私を。
その時点でしたいと思った選択をした、過去の自分を、
尊重してあげたい、と思う。
過去の自分を裁く権利など、今の私にはないのだ。
「選択しない」という選択をも含めて、選択なしには、人生は存在しない。
後悔しない人生も、後悔する人生もない。
間違えない人生も、間違った人生もない。
私はいつも選ぶことが怖くて、つい正解を探してしまうけれど。
もしあなたも、いつも正解を探しているなら。
けれど、正しい人生などきっとないのだから、
もっと身軽に選択できるといいな、と思う。
……というようなことを、以下のマンガを読んで思った。
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どちらも過去にトラウマを抱え、後悔しとらわれ続ける男の子がでてくる。
意識しなかったけれど、こうやって並べてみると話が共通しているなあ。
orangeは、重くてファンタジックな設定を扱っているのに、
5巻でコンパクトにまとめていて好き。
表紙・背表紙が見た目よく、サイズが単行本に近いので、本棚に置いておきたくなる。
ぎゅっと手に握りしめたくなるセリフは、僕等がいた。