【旅行エッセイ】 路地裏にねむる余白。
路地裏、路地うら、ろじうら。
大通りからふっと一本入った、小径。
路地裏ってなんだか、わくわくしませんか。
チェコの南のほうにある、チェスキークルムロフという街に行ってきました。
見るからにオフシーズンの避暑地というかんじ。観光客しかいなくてそのうちの7割くらいがアジア人で、ここはどこのアジアの街?って思ったくらい。
足の長い人なら一時間くらいで全部回れるんじゃないかなあという、小さな街。
塔のてっぺんから見た、オレンジ色の屋根が重なる景色はきれいだけれど、それ以外特に何もなくて、あまり期待していませんでした(実際時間が余った)。
でもこの街、小さいながら(小さいからこそ?)路地裏がけっこうあるんですね。
坂も多いし、ふっと一本入るとその道が曲がっていて、その先に何があるのかわからない。
でも小さい街なので、迷ったら塔を目指せばいい。
というわけで、地図を持たずひたすらぐるぐるしてみました。
歩いている間に、路地裏にわくわくしていることに気がつきました。きっと小さいから、迷子になる心配が少ない分わくわくしていたのでしょう。
この街はプラハの中心地ほど綺麗に整備されてなくて、角を曲がると突然壁のコンクリがはがれてたり、ちょっと崩れそうになったりしてる建物がぬっと現れます。
特に何かあるわけではないのに、道を一本入ったり、角を曲がったりするとわくわくするのはなんでだろう。
きっと、いい意味でも悪い意味でも予想を外れるからでしょうか。
わかりやすい街って、大通りがまっすぐのびている道でできている。道沿いに、等間隔で木が植えられた道。歩きやすいけれど、遠くに何があるか一目瞭然だし、迷うことができない。
でも細いうねうねした、すこうし陰りのある路地裏は、先が見えない分どきどきする。何があるかわからない、余白がそこにはあります。そういった余白は、怖くもあるけれど、同時にわくわくするものでもある。
路地裏はわけのわからなさが残された場所なんですね。
あの話はねこのまちに迷い込んでしまう話で、確かに怖かったけれど、迷い込めてしまう街に私たちがなんだか惹かれてしまうのも、また真実。
急に(というか思い出したように)路地裏のある街に魅せられてしまったので、暫く路地裏を求めて旅にでてみようかなと思います。
といっても路地裏ってどこにでもあるので、あなたも時間が空いたときには、ふっと迷い込んでみませんか。