【旅行エッセイ】 ポルトガルリスボンというまち 2
リスボンの第一印象は、ドイツと全然違うということだった。
それだけでもここまで来たかいがあるというものだ。
まず椰子の木なんて生えている。道はでこぼこ、車の来ない赤信号の前で待っていたりしない。建物はそこまで重厚感がないし、ピンクだったりとどことなくカラフルだ。
統一感や清潔感はドイツには及ばないけれど、その分生活感で溢れている。
歩道に突き出た洗濯物のシーツ(逆に汚れないんだろうか)、ツタのように建物に走る電線(ヨーロッパの街にも電線ってあるんだ!)、店先でお客としゃべっているおじさん(どことなく日本の小さな街にいるおじさんに似ている)。
初めての街なのに、英語も通じないのに、なぜかほっとするのはだからだろうか。
アジア人を全然見かけないのに、地元の人しかいないカフェに入っても誰にも見られない。街を歩いていてもレストランで食事していても、びっくりするくらい見られない。
それだけドイツでは誰かの視線を感じていて、私にはそれが妙に居心地悪かったことに今更ながら気づく。
リスボンでは良い意味で他人を気にしないみたいだ。よそ者なのに、異国の者なのに、それをあまり意識しないですむ何かがある。
ドイツで見慣れた街を歩いてたのに、ああ私はここではよそ者なんだなとぼんやり感じたばかりだったから、リスボンのその空気は居心地よく私を包んでくれた。(たぶん続く)