【Webエッセイ】淡々と、その言葉を。
言葉、ことば、コトバ。
人が人へ、紡ぐもの。
ひっそりと咲く花のごとく、そこにそっと佇むもの。
言葉は人を傷つける。自分を縛るし、相手だって縛ることがある。一生あの人の一言が忘れられないこともある。
言ったことの根拠や具体例を示せと言われて、ぐっと黙ってしまうこともある。
言葉にした瞬間に、ぽろぽろ落ちていく感情が大海原を漂っている。
だから言葉は嫌い。
なんて言えたらきっと、楽だろう。
言葉じゃ伝わらないことがある。言葉じゃなきゃ伝わらないことがある。とかそういうことを言いたいわけじゃない。
言葉が好きだ、文字が好きだ。でも言ってはいけないかなとか、誰かを傷つけるかな、とか気にしてしまうことがある。
言葉が怖くなることがある。
でもそれじゃきっと、届けたい人への言葉だって、届かなくなっちゃう。だれかを傷つけることがあっても批判されることがあっても、淡々と綴っていけば、いつか届けたい人に届くことはあるんだろうか。
一人の人を信じるのと同じくらい、言葉やその力を信じるのは難しい。
淡々と綴ること。淡々と信じること。言葉への信頼が揺らぎそうなときは、でもやっぱり、淡々と紡いでいくしかないのかもしれない。