思考の道場

答えのない、問いのまわりをぐるぐると。

思考をキック

以前、「マルクスは知識を得るために読むのではなく、知的パフォーマンスをあげるために読む」という趣旨のことを内田樹さんの本で読んだ。

なるほど!と思い、早速初期のマルクス作品を読んでみた。古典新約文庫だったからか、想像していたのより柔らかく、読みやすかった。何より、若い頃に書いたからだろうか。言葉の節々に溢れる思想や思いを感じる。結局、本文の意図よりも、気に入った箇所を思い出す読み方になってしまった。

 

内田樹さんの文章も同じで、特に初期の作品は、読んでいるとなんだか自分でものを考えたり、何かを書きたくなったりしてしまう。今読んでいる村上春樹のエッセイしかり。内容もさることながら、むしろ書き方とか、文のテンポとか呼吸とか、そういうものにじわじわとにじみ出てくる味わい・・・味噌汁の出汁みたい・・・を感じるのだろう。それに刺激されて=思考をキックされて、何かを思いついたり思い出したりする。その瞬間って、わくわくする。頭がぶううんとうなりだすのがわかる。

 

小説しか読まなかった私が、最近それ以外の本を専ら読むようになったのは、思考を刺激される面白さに、遅ればせながら気づいたからだ。なるほどこの文章も、村上春樹のエッセイを読みながら書いているところである。