【Webエッセイ】 人間は好きですか
人間など嫌いだ
なんて言ってみたい。
私は結構、山奥に籠った仙人みたいな人とか、図書館に一人もぐってひたすら研究してる人とか、田舎に引っ込んでこりこり小説書いてる人とかに憧れます。
一人でのんびりするのは好きだし、去る者追わず来るもの拒まずという淡泊な部分もある。
とかいいつつ、一皮剥くとびっくりするくらいの欲望が眠っていることに気がつきました。
誰かを余すことなく理解し、誰かに余すところなく理解されたいというどろどろした、でも切実な欲求が。
私はその人がどういう人なのか知っていく瞬間にすごく喜びを覚えます。その人自身が知らない自分を掘っていくときとか。
人間の人間による人間のための、小説や絵画、哲学に専ら向かってしまうのです。
つくづく人間に関心があって人間が好きなんだなあと。
臭い物に蓋をする・・・じゃないけれど、あんまりこういう欲望に目を向けたくありません。でも見ないふりをして知らない間に誰かにぶつけるよりは、認めちゃって芸術とか学問みたいなものに昇華した方がいいかもしれませんね。
と言っても欲望は無自覚だからこそ、欲望と呼べるかもしれませんが。
ちなみに私は、人を理解したいけれどできないという現実は、絶望であり同時に希望だと思っています。